第11回峰の会地歌箏曲演奏会 無事に終わりました

気づけば今年も師走、コロナの影響もあって例年に比べてもあっという間に12月ですね。
先週の日曜日にありました、「第11回峰の会地歌箏曲演奏会」お陰様で無事に終えることが出来ました。
ご来場頂きました皆様、応援して下さっている皆様、本当にありがとうございました。


当日は朝から準備のため9時入り、諸々の事務仕事を終え、そのまま曲の調弦に移ったので気づけば12時開場、開演。
出番自体は3曲目からでしたが、直前まで調弦やら着替えやらバタバタしていました。こんなに忙しくしていたのも初めてかもしれません。
そのあとは調弦やったり舞台で演奏したり、結局客席に行くことは叶わず、聴けそうな曲は舞台袖で拝聴しました。
姉弟子さんはじめ、他のお弟子さん方のお互いへの気遣いもあり、進行としては比較的スムーズいけたように感じます。

今年は全7曲出演でしたが、まあご来場頂きました皆様お察しの通り三部1曲目の「鐸よ」17絃で盛大にやらかしたのは僕です。
出番の前からずっとこの曲はドキドキしていたのですが、終わってから裏で一人、深いため息をつきました。
結局は本番でこけたらそこまでなんですが、やっぱり悔しい、次の17絃はもっとちゃんと弾こう、なんて決心して次の曲の支度をしました。

他の曲は他のお弟子さんのパワーもあり、無難にこなせたように思います。
個人的に三絃の駒を変えてみての初めての本番、良い感触も掴めて正直大収穫ではありました。もちろん17絃がボロボロだったのも苦い思い出ですが、良い経験です。


コロナ禍、最近はまた感染者も増え開催に関しても先生がすごく悩まれたようです。
舞台にあがるのも久しぶり、人前で演奏するのも、そしてあの緊張感も久しぶりの方多かった会だったと思います。
けれども決して無駄ではないし、むしろ得るものが本当に多い、やることに意味がある会とはまさに今回の「峰の会」だなと思いました。

これから春にかけて辛い季節に差し掛かりますが、今回の会も踏まえて、一歩ずつ前に進んで参りたいですね。

ただ、もう少しちゃんと17絃弾きたかったなあ.....

掲載日時:2020-12-01

古典を勉強する会 無事に終わりました

先週の金曜日にありました、「古典を勉強する会」お陰様で無事に終えることが出来ました。
ご来場頂きました皆様、応援して下さっている皆様、本当にありがとうございました。


当日は朝から自宅で朝練をし、車で市内へ。
ここ最近阪神高速環状線が工事のため通行止めとなっており、池田線を使って大阪市内へアクセスが出来ません。
ちょうど前日に先生の稽古場に使ったところ梅田出口で強制退場を命じられ、大渋滞の中、下道で八尾まで向かいました。
という反省点も踏まえて1つ前の福島出口で降り、会場の玉水記念館に向かいました。
とは言ったものの、福島でもそれなりに混んでおり(さすがの平日)会場には予定より30分オーバー、余裕見て動きましたが返って良かった結果となりました。
会場についたら相方の菊重絃生さんも着替えに移っていましたので僕も支度を始めました。
そのあとは軽くリハを行い、本番へ。


久しぶりの本番で、いつになく緊張しましたが結果としては楽しかったです。
古典を覚え、1人で演奏する機会はいくつあっても嬉しいですね。あの緊張感は僕の中では独特で、また心地よいです。

本番が終わったあとは受付の仕事をお手伝いしたり、合間に客席で他の先生方の演奏を拝聴したり、
本来は演奏会シーズンですのに、今年は寂しい、、と思いきや挟み込みのチラシは何枚かあり、
また予定さえ合えばお伺いしようかなと思います。

さて、そろそろ月末の「峰の会」へ本腰を入れましょう。
覚えの曲はもちろんですが、普段弾かない十七絃での担当もあり、いつでもそうですか気合入れて練習し
来週の最終リハに臨みたいと思います。

コロナも冬に近づくにつれて感染者も多くなってきておりますので、最新の注意を払って稽古に励みたいと思います。

掲載日時:2020-11-17

秘すれば花

昔に読んだ本ですが、皆様はご存知でしょうか。


Amazonの見出しには以下の通りありました。
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秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず――。秘めるからこそ花になる。秘めねば花の価値は失せてしまう……。能を大家・世阿弥が著した芸論書「風姿花伝」の中から、男女小説の第一人者が、現代人へのメッセージとして「五十の教え」を厳選した。これからの時代いかに生きるべきか。苦悩する社会人は必読!
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僕自身も勧められて読んでみた本ですが、当時は「五十の教え」が1つの教訓にになったのを良く覚えています。
いたずらに歳を重ねるのではなく、こういった指標があると過去の見つめ直し、今自分がすべきことなんかも自ずと見えてくるように思います。

なぜこのような記事を書いているかというと、先日11/7に無事29歳になりました。
俗に言うアラサーではありますが、30歳の大きな節目を前に自分の中での芸の見つめ直しに良い機会だなと思い書いています。

本にも事細かく説明されていましたが、ネットで『風姿花伝』での世阿弥のことばについて調べてみました。

以下引用です。
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本来の趣旨は、年齢に応じた稽古の仕方を示すもので、年齢に応じた対処の仕方や、歳を経ていく自らについて、後世に伝えるものですが、教育者として、親として、どのように子ども(若年者)に対応していったら良いのかという観点や、年齢を経ていくことにも言及しており、世阿弥の教育論、人生論としても示唆に富んだ内容となっています。


幼年期(7歳頃)
>>自発的な動きに方向性だけを与え、導くのが良い。親があまりにも子どもを縛ると、親のコピーを作るだけ。

少年前期(12〜13歳より)
>>少年期の華やかな美しさ「時分の花」に惑わされることなく、しっかり稽古することが肝心

少年後期(17〜18歳より)
>>人生で最初の難関、限界のうちで進歩がない時には、じっと耐えることが必要。無理せず稽古を続けることが、次の飛躍へと続く。

青年期(24〜25歳の頃)
>>人々に誉めそやされ、時代の名人を相手にしても、新人の珍しさから勝つことさえある。勝ったと勘違いせず、自分を「まことの花」とするための準備を「時分の花」が咲き誇っているうちにする。

壮年前期(34〜35歳の頃)
>>この年頃で天下の評判をとらなければ、「まことの花」とは言えない。上手になるのは、34〜35歳までである。40を過ぎれば、ただ落ちていくのみである。自分の生き方、行く末を見極める時期。

壮年後期(44〜45歳の頃)
>>頂点を極めた者でも衰えが見え始める、この時期でも、まだ花が失せないとしたら、それこそが「まことの花」である。そうだとしても、この時期は、あまり難しいことをせず、自分の得意とすることをすべきである。

老年期(50歳以上)
>>何もしないというほかに方法はないのだ。それが老人の心得だ。それでも、本当に優れた役者であれば、そこに花が残るもの。

世阿弥が説く7段階の人生は、何らかを失う、衰えの7つの段階であるともいえます。少年の愛らしさが消え、青年の若さが消え、壮年の体力が消える。何かを失いながら人は、その人生を辿っていきます。しかし、このプロセスは、失うと同時に、何か新しいものを得る試練の時、つまり初心の時なのです。「初心忘るべからず」とは、後継者に対し、一生を通じて前向きにチャレンジし続けろ、という世阿弥の願いのことばだといえるかもしれません。
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簡単にまとめてみました。
年齢的にもやはり、「上手になるのは、34〜35歳までである。40を過ぎれば、ただ落ちていくのみである。」という一文がとても印象深かったことを覚えています。
上の7段階が全て正しいかは人それぞれだと思いますが、僕自身は指標として今でも影響を受けています。
10代の芸、20代の芸、30代の芸、、、同じ曲でも歳が違うとそれぞれがそれぞれの味を持っている、どれがどう優越なのかはおいといて、
節目の際は初心の時であることを忘れずに、前向きにチャレンジし続けて行きたいですね。

コロナで世の中は大きく変わりましたが、耐える時、いつか「まことの花」を咲かせることを夢見て、今は稽古を重ねていきます。

掲載日時:2020-11-09

古典を勉強する会

いよいよ来週金曜日となりました「第61回 古典を勉強する会」

この会は菊重先生の師匠でいらっしゃいます菊原光治師匠の一門の皆様の会で、
全曲カットなしの暗記で古典曲を一曲勉強し、披露する演奏会となっています。
何年か前から客席にはお伺いしておりましたが、ご縁がありまして昨年より舞台で勉強させて頂くお仲間にいれて頂きました。
お話頂いた時は、光栄で嬉しい気持ちでいっぱいだったのを良く覚えています。

右も左も分からない中、大先輩の皆様方にも良くして頂きまして年に一度ではありますが、今年もなかなかに楽しみです。

元々は初夏に行われているのですが、今年はコロナのこともあって11月まで延期になっておりました。
これに伴いまして、会場も守口市の「エナジーホール」から大阪市肥後橋駅の「玉水記念館」に変更、また開催日も休日から平日に変更になっております。
感染対策の観点からも平日開催はありですね、何よりこのご時世舞台で演奏出来ることが本当に嬉しいです。

チケットございますので、もしもお越しいただけそうでしたらお申し付けください。

掲載日時:2020-11-04

演奏会にお伺いしてきました

ここ最近で急激に気温が落ち、いよいよ冬も近づいて来ている予感がしますが昨日は大阪の国立文楽劇場まで向かい
「菊寺智子 三絃リサイタル」にお伺いしてきました。



菊寺智子先生は、菊重師匠と同門で菊原光治師匠の内弟子として修行を積まれていらっしゃいます。
数年ほど前に次期「菊原」としての指名を受け、この度初リサイタルを開催されました。
演目は「浪花十二月」「ぐち」「ゆき」の三曲で、どの曲も重く、地歌舞でも選曲されることが多い演目を集めていらっしゃいました。

「浪花十二月」は菊原師匠と、「ゆき」は同門であり内弟子でもあります菊萌文子先生とそれぞれ共演されていらっしゃいました。
「ぐち」は三絃のみでした。
「浪花十二月」「雪」それぞれ聞いている際に本当に感じたのは、賛助出演の先生方お二人が菊寺先生が映えるよう、
もちろんそれは当たり前のことなのですが、素敵だなあと思って客席で聴いている自分がそこにいました。

さて、今回は文楽劇場でしたが客席につくと粋なはからいがございました。



上の客席にかかっておりますのは帯(をプリントした紙)です。
流石に本物はかけれないでしょうけど、これを舞台上からみるとどういう光景になっているのか気になりました。

早く劇場で演奏する日が来て欲しいですね。

掲載日時:2020-10-26

地歌三味線の撥(バチ)のお話

本日は少し真面目なお話を。
三味線音楽は長唄・清元・常磐津・義太夫など様々ございますが、自分が演奏しているのは地歌。
三味線音楽の中でも祖と呼ばれるカテゴリで、最初期に作曲された三味線本手(組歌)を伝承している流派が多いです。
自分は直接稽古は付けていただいておりませんが、
師匠の菊重精峰先生はじめ、
人間国宝でいらっしゃいました菊原初子先生率いる「琴友会」の大先生方はこれらの音楽を継承され、とても大切に演奏されていらっしゃいます。
これらの楽曲群の勉強の成果を発表する場として、年に1度、東京・大阪・京都の三都市で持ち回りで「三味線本手組歌演奏会」を開催しております。
大阪、京都は何度かお伺いしたことがありますが、普段耳にする地歌とは違いますので新鮮ですね。


写真は過去にお伺いした本手会のチラシです。

さて、上の写真を見ていただくと野川流・柳川流とありますね。
師匠や菊怜峰も含めて野川流ですが、実は京都を中心に柳川流と言った流派もございます。
ニュアンス的には箏曲においての「生田流」「山田流」に似ていて、使う爪が違うのと同じように野川流と柳川流では使う三味線や、撥が違います。

琴教室
上の撥は野川流のものですが、一番右手の撥を握ると割と大きいのがお分かり頂けるかと思います。(津山撥)

撥
こんな感じで、大きく重く、演奏時はそれを上手く使います。

撥
柳川三味線の撥を構えるとこんな感じになります。(京撥と呼ぶようです)

撥
比較してみるとこんな感じになります。

実際の演奏を聴き比べてみると、音の方向性が違うのが一目瞭然でして、
柳川流の柳川三味線は構造自体も小ぶりでかつ、駒も台広駒を用いるため重厚で深い音がなります。
皮の貼り方も野川流でいうところの水張りに近い感じで、ボンボン響く感じですね。
写真の通り、京撥は非常に薄く(人によってシャモジだなんておっしゃっていましたが)そのおかげもあって、
よくしなります。

撥を研究していた時分に、柳川三味線に出会ったこともあり、当時は軽く衝撃を受けたのを覚えています。

掲載日時:2020-10-17

第2回リハーサル(第11回峰の会地歌箏曲演奏会)

さて昨日は、先日もご案内させて頂きました来月11/29(日)開催の「第11回峰の会地歌箏曲演奏会」のリハーサルがございましたが、
名古屋より野村祐子先生がお越しいただいてのリハーサルでございました。
担当する曲が割と先生に近い距離でしたが、峰の会面々に指導されるお姿や、箏の音色にお人柄が映し出されているような気がして、
気づけば惹かれている自分がそこにいました。
最近は箏に使う爪を新調したり、弾き方、音の出し方を研究したりはしているのですが、
外部の先生をお迎えすると、今まで見たことがない音が発見出来たりして嬉しいです。

最近はコロナの影響もあって会も激減、他の方の音を聴く機会が無くなり研究の糧も寂しい状態でしたので、
良い刺激になりそうです。


写真はリハ会場外の廊下から。奥でリハ中です。

リハの中身の話ですが、朝9時から出動して上4役で打ち合わせ、10時にはリハが始まりました。
途中休憩もしながらですが、リハをしているか調弦をしているかの記憶しかなく、
上の写真を撮ったのも一通りリハの業務も落ち着いた16時くらいにだった気がします。
そこから自分の最後のリハも終わって、予定通りの19時に終了・撤収。
毎回10時間コースなので、中々の耐久レースです。

結構ヘトヘトにはなりましたが、今回のリハでの宿題も山積みなので残り1ヶ月半本腰いれて頑張りましょう。
なんて話を社中の中でも年の近い4人組で肉を食いながら、互いの疲れを労いました。

本日は仕事終わりにそのまま来月の古典の会の下合わせなので、マジで二日連続ヘトヘトになりそうです。
まあこれが楽しいのだから良いのだけれど。

掲載日時:2020-10-12

第11回峰の会地歌箏曲演奏会

自分が所属している社中(師匠の菊重先生が主宰する弟子一門の会)の定期演奏会が、
来月11/29(日)に新大阪の「ココプラザ(大阪市立青少年センター)」にてございます。
特別出演に名古屋の野村祐子先生をお迎えしての会で、三部構成の会の二部に社中メンバーとの共演がございます。
コロナ禍で外出も億劫な世の中ですが、十分な対策を行なった上での開催を目指しておりますので、
当日体調が優れましたら是非お越しくださいませ。



さて第11回目を迎える定期演奏会ですが、ちょうど1年ほど前に第10回目の記念の会がございました。
師匠の菊重先生が「芸歴50周年開軒35周年」を迎えられ、節目の会であることに合わせて主催されました。
曲や当日の仕事の内容からも、会当日は例年以上に大変でしたが、どの場面でも楽しかったのをよく覚えています。
今年からは区切りの年を終えたのあり、新たな取り組みとして外部の作曲家の先生をゲストでお迎えすることとなりました。
チラシにもあります「夢はマーチに乗って」「愛と祈りの調べ」「兎と亀」はどれも野村祐子先生が作曲された曲です。
このうち「夢はマーチに乗って」に出演しますが、次回のリハからは野村先生からのご指導も頂戴頂けるとのことで、
楽しみです。

さてチラシを見ていただくとお気づきの方いらっしゃるかもしれませんが、
「第10回」までは古典曲が必ず入っていたのですが、今年だけはコロナを踏まえて取りやめにされました。
代わりに菊重先生作曲の歌物が何曲か入っております。とくに終曲「青い地球」は、春に先生が作詞作曲されFaceBookで発表、
コロナ禍の応援ソングですので、瞬く間にたくさんの方々が演奏されラジオで演奏されるまでになりました。
地歌のそれとは違い、混声合唱となっております。

そういえば今回から胡弓でも出番を頂けることになりました。昔のからの憧れの楽器で、
第10回目が終わってから先生に師事し初舞台になります。終曲は胡弓パートで参加致します。

好き放題かけると、なんというか際限ないので自分で区切りを付けないと行けないですね。
あくまで「ひとりごと」、だらだら書いて行きますので途中で突然終わるときもありますが、
そういう仕様と割り切って読んでください。

掲載日時:2020-10-03

はじめまして

みなさま初めまして。菊怜峰 好貴(きくれいほう こうき)と申します。
兵庫県宝塚市を拠点に琴・三味線の教授をさせて頂いております。
年明けから全世界で猛威を奮っております「新型コロナウイルス」の影響を受け、演奏活動の面では寂しさもございますが、
「春が来ない冬はない」とも申しますし、やがて来る「春」に備えて日々精進しております。
本来ですと秋から冬にかけて芸術が盛んに行われますが、今年ばっかりはこのまま冬眠しそうな勢いですね。
今自分に出来ることを、コツコツとこなしつつ季節としても、芸術としても「春」が訪れることをのんびり待ちたいと思います。

さて、普段からTwitterなどで自分の趣味のバイクの情報発信はちょくちょく行なっているのですが、
このページでは(辛うじて)邦楽に関連するお話を発信したいと思います。
Twitterでは文字数制限もありますが、ここでは好き放題書けますので。

不定期更新にはなりますが、末長くお付きいただけましたら幸いでございます。

掲載日時:2020-10-02